代表の渡部は日々様々な立場の方から多くの相談を受けております。また副代表は福島県の日常生活自立支援事業(あんしんサポート)において認知症高齢者・障がいのある方などを対象として、福祉サービスの利用や生活に必要なお金の出し入れ等を公的な制度でお手伝いする事業の一端を担っていた実績があります。
このような経験から、相談者のタイプは大きく4つに分けられ、それぞれ異なる特徴を持っており、相談の仕方が適切であれば、より効果的な支援に繋がって解決への道が開けることを実感しています。
相談者のタイプを見ていきます。
相談者の4つのタイプとその特徴
① 現状をどうにかしたいが、他者のせいにしてどうしたいのかがわからない方
- すべての原因を「周囲の環境」や「他人のせい」と考えがち
- 「○○が悪いから、自分はこうなった」と被害者意識が強い
- 自分で解決しようとする意識が低く、他者に依存しがち
- 自分の意見は正しいと思い込んでいるため、自分の言い分の裏付けとなるような言葉を求めている。そのため具体的な解決策を提示しても、聴かない。自分の考えと違うと「でもちがう」「そうじゃない」などと否定的な反応をしがち
- 「相談したのに解決しない」などと相談を受けた側のせいにしてくることもある
② 現状をどうにかしたいが、何からどう手を付けたら良いのかわからない方
- 漠然とした不安や問題を抱えているが、整理できていない
- 何を質問すればいいのかさえ分からず、支援の選択肢も知らない
- 「どうしたらいいかわからない」という言葉がよく出る
- 具体的な行動に移せていない
③ 現状をどうにかしたく、アレコレ考えたり調べたりしたけれど、いまいちよくわからなくて相談する方
- 情報収集はしているが、整理ができておらず混乱している
- 選択肢が多すぎて、どれを選ぶべきか決められない
- 「○○と○○、どっちがいいですか?」と選択の相談をすることが多い
- ネットや本で調べた情報と、実際の状況のギャップに戸惑っている
④ 現状をどうにかしたく、アレコレ考えたり調べたりしてどうしたいのか決まっており、専門的なアドバイスを求めて相談に来る方
- 自分なりに調べたり考えたりして、ある程度方向性を決めている
- 具体的な質問を持ち、解決策の選択肢を持っている
- 「○○の方法で進めたいのですが、リスクはありますか?」など、専門的な確認を求める
- アドバイスを受けたら、すぐに行動に移せるタイプ
解決までのスピードの速さ
解決までのスピードをランキングにしてみると➃→③→➁→➀のようになります。
- ➃現状をどうにかしたく、アレコレ考えたり調べたりしてどうしたいのか決まっており、専門的なアドバイスを求めてくる方
- ③現状をどうにかしたく、アレコレ考えたり調べたりしたけれど、いまいちよくわからなくて相談する方
- ➁現状をどうにかしたいが、何からどう手を付けたら良いのかわからない方
- ➀現状をどうにかしたいが、他者のせいにしてどうしたいのかがわからない方
どんなご相談もお受けしていますが、解決までに要する時間が異なるのには理由があります。
解決までに要する時間が異なる理由
1. 現状をどうにかしたく、アレコレ考えたり調べたりしてどうしたいのか決まっており、専門的なアドバイスを求めてくる方
理由:
このタイプはすでに問題を整理し、解決策もある程度決まっているため、専門的なアドバイスさえ得られればすぐに行動できる。必要な情報や支援を提供することで、短期間で解決に向かうことができる。
2. 現状をどうにかしたく、アレコレ考えたり調べたりしたけれど、いまいちよくわからなくて相談する方
理由:
すでに情報収集をしており、解決に向けた意欲はあるものの、整理ができていないため迷っている状態。適切な情報提供やアドバイスがあれば、自分で決断し、行動を起こすことができるため、比較的早く解決に向かう。
3. 現状をどうにかしたいが、何からどう手を付けたら良いのかわからない方
理由:
解決したい気持ちはあるが、何をすればよいのかがまったく整理されておらず、問題を具体的に捉えられていない。そのため、まずは状況を整理し、選択肢を提示するところから始める必要があり、解決までに時間がかかる傾向がある。
4. 現状をどうにかしたいが、他者のせいにしてどうしたいのかがわからない方
理由:
問題の原因をすべて周囲のせいにしてしまうため、自分で解決しようとする意識が低く、行動に移りにくい。他者への依存や「でもちがう」「そうじゃない」という自分の思いが正しいという思考が強いため、考え方を変えること自体に時間がかかる。また、行動したとしても、アドバイスは聴かず、自分の思いのみで行動するためうまくいかない。酷い時は相談を受けた側のせいにしてしまう。意識が変わらない限り、問題解決が進みにくく何年も同じことで悩み、常に耳障りの良い言葉をくれる人を探して彷徨うため相談打ち切りとなってしまう場合がある。
「自分の問題として捉え、行動できる人ほど解決が早い」 という傾向があります。
逆に、「問題を整理できていない人」「他者のせいにしている人」は解決が遅くなる ため、相談の仕方を工夫する必要があります。以下にポイントをまとめました。
解決が遅くなりがちな相談者が、相談の仕方を工夫するポイント
① 問題を整理できていない人(何から手をつけたらよいかわからない人)
- 困っていることを「一文で」まとめてみる(例:「家計が厳しくて、支援を受ける方法が知りたい」)
- 悩んでいることを「いつ・どこで・どのように」具体的に話す(例:「最近、食費を抑えても赤字が続いている」)
- 相談のゴールを決める(例:「何をすれば状況が良くなるのか知りたい」)
- 今まで試したことや、やってみようと思ったことを整理する
- 質問を一つに絞る(「○○について知りたい」と明確にする)
② 他者のせいにしている人(どうしたいのかがわからない人)
- 「自分にできることは何か?」を考えながら相談する
- 「○○が悪いから…」ではなく、「私はどうすればよいか?」という視点に変える
- 過去の経験や状況ではなく、「これからどうしたいか」に焦点を当てる
- 感情的にならず、事実を整理して話す(「○○がひどい」ではなく、「○○の影響で△△に困っている」)
- 「助けてもらう前提」ではなく、「一緒に解決策を考える」姿勢で相談する
- すぐに否定せず、アドバイスを受け入れる意識を持つ
このように、相談をうまく工夫すると、支援者も適切なサポートをしやすくなり、解決が早まります。
問題を抱えて困っている方も、相談の仕方に工夫をしてみてはいかがでしょうか?
「相談する力」は、問題解決の大きな一歩になります。