経緯と現状
当団体の代表 渡部裕之氏は、社会保険労務士を経営する傍ら、東日本大震災のときからの夫妻の目標であった里親を始めることになった。その時に、法律の知識は必須であると考え、行政書士の資格を取得している。それから地域には色々な子どもがいるということがわかり、家庭のことだけでなくもっと地域の現状を知るべきと考えて子ども食堂を始めた経緯がある。
子ども食堂をはじめてみると、多くの子どもたちと出逢い実に様々なご家庭があることを知ることになった。当団体は「貧困であるかどうか」を参加条件に加えずに運営してきたためか、非常に多種多様でな参加者がいる。
この参加者の中には「貧困家庭」「機能不全家族」「母子家庭」「独居高齢者」などのご家庭ももちろんあり、最初からそうであるとわかるパターンと複数回に渡りcommunicationを取る中でわかっていくとがあった。
こうした中で、ハラクッチーナ代表は行政書士としての専門性を活かしながら、子ども食堂を通じて地域の困窮世帯などに相談支援を行っており、さらに、生活保護の申請支援までを一貫して引き受けることで、支援が必要な家庭に対し、実際の生活改善につながる道筋をつけている。
相談者の特徴と行政書士としての支援の役割
相談を受けていくうちにわかったことを、相談者の抱える課題としてまとめている。
相談者の抱える課題
- 問題の原因を自分で発見できず、他人に依存しやすい
- 相談者の多くは、困難な状況に直面した際に自ら解決しようとせず、他者に頼る傾向がある。
- 問題の責任を他者に求めがちで、主体的に行動することが難しい。
- 問題の本質を整理し、相談者が自立的に考え、行動できるよう支援を行う。
- 行政手続きに関する知識や経験が不足している
- 生活保護や各種支援制度を利用するには適切な手続きが必要だが、多くの相談者がその仕組みを理解していない。
- 制度を利用できるにもかかわらず、適切な申請ができずに困窮状態が続いてしまう。
- 手続きのサポートを行うだけでなく、相談者自身が制度を理解し、主体的に活用できるよう伴走する。
- 相談の仕方がわからず、問題が長期化する
- 相談者の中には、自分が何を求めているのかを明確にできず、漠然とした不満を述べるだけで終わってしまう人が多い。
- その結果、具体的な解決策が見えず、支援の機会を逃してしまうことがある。
- 相談内容を整理し、必要な支援を明確化することで、より効果的な解決へと導く。
- 現状を変えようとせず、行動を起こさない
- 現状に対する不満があっても、改善に向けた行動を起こさず、問題が放置されるケースが多い。
- 支援を受けても状況が変わらず、同じ問題を繰り返してしまう。
- 現実を直視する重要性を伝え、小さなステップからでも行動を起こせるよう支援する。
- 相談すること自体をためらい、適切な支援につながらない
- 自ら相談することに抵抗を感じ、結果的に支援を受ける機会を失ってしまう人も多い。
- 特に、子どもを抱えている場合は、相談をためらうことが子どもの生活環境にも悪影響を及ぼす可能性がある。
- 相談することの重要性を伝え、適切な支援につながるよう働きかける。
行政書士としての支援の方向性
- 相談者の依存的な姿勢を一緒に見直し、相談者が主体的に問題を解決できるよう支援する。
- 行政手続きをスムーズに進めるだけでなく、相談者が制度を理解し、自立を目指せるよう指導する。
- 問題の本質を整理し、具体的な解決策を提示することで、相談が「愚痴の場」で終わらないようにする。
- 相談者が行動できるよう伴走し、小さな成功体験を積み重ねる支援を行う。
- 相談の重要性を伝え、必要な支援につながるよう働きかける。
このような支援を通じて、子ども食堂ハラクッチーナを「施しを受ける場」ではなく「生活困窮者の救済」でもなく、「課題を抱える人の自立へのサポート」を目的とした相談支援の場として展開している。
このような活動は、単なる食料支援にとどまらず、社会的なセーフティネットの役割を果たしている点で非常に意義深いことである。特に、行政手続きに不慣れな方や、制度の利用に心理的ハードルを感じる方にとって、信頼できる専門家が伴走することは、大きな安心につながると考えている。
一方で、この活動には課題もある。
たとえば、
- 行政との協力体制の構築
- 支援を継続するための財源の確保
- 支援対象の線引きの明確化(民間だから出来る線引き)
- 現場で実際に困っている人々への直接支援
- 社会的な仕組みを活用した生活の安定支援
地域福祉の観点に基づいた支援を実施するためには、現場で困っている人々の声に耳を傾けながら、行政との協力体制の構築や財源の確保、支援対象の明確化といった課題に取り組むことが求められる。社会的な仕組みを活用し、生活の安定を図る支援を行うことは地域福祉の観点から非常に重要である。
この取り組みがさらに広がれば、子ども食堂は「施しを受ける」場ではなく、「自立へ向けた支援の場」としての子ども食堂の役割が強化されるでしょう。
ハラクッチーナの活動とその社会的意義まとめ
- 専門性を活かした支援の提供
代表 渡部裕之氏の、社労士・行政書士としての専門性を活かしながら、子ども食堂を通じて地域の困窮世帯とつながり、相談支援を行っている。さらに、生活保護の申請支援までを一貫して引き受けることで、支援が必要な家庭に対し、実際の生活改善につながる道筋をつけている。 - セーフティネットとしての意義
このような活動は、単なる食料支援にとどまらず、社会的なセーフティネットの役割を果たしている点で非常に意義深い。特に、行政手続きに不慣れな方や、制度の利用に心理的ハードルを感じる方にとって、信頼できる専門家が伴走することは、大きな安心につながる。
セーフコミュニティ賞受賞 - 具体的な支援の成果
過去には、支援を受けた家庭が家族関係が改善して子どもに笑顔が戻ったケースや、生活保護申請までの制度説明を聞いて安心して子に教育を継続することができる環境を整えた事例がある。こうした取り組みは、単なる一時的な支援ではなく、長期的な生活の安定につながる実績を生み出している。 - 地域への社会的インパクト
この活動は単なる福祉支援にとどまらず、地域全体の貧困問題や格差解消に貢献しています。困窮世帯の課題が行政に届きやすくなり、支援の仕組みが機能しやすくなるとともに、地域住民の支援意識の向上にも寄与しています。 - 継続的な課題
行政との協力体制の強化や、支援の継続に必要な財源確保、支援対象の線引きなどが課題として挙げられる。特に財源確保に関しては、企業や地域住民からの寄付の促進、助成金の活用、行政との連携強化などが求められる。 - 今後の展望
これらの課題に向き合いながらも、実際に困っている人々への支援を継続する。社会的な仕組みを活用して生活を安定させる支援を行うことは、地域福祉の観点から極めて重要である。 - 自立支援の場としての子ども食堂の発展
この取り組みがさらに広がれば、「施しを受ける」場ではなく、「自立へ向けた支援の場」としての子ども食堂の役割が強化され、子ども食堂利用者を物乞いにせず、自立を目指すきっかけの場所となる。これにより持続可能な地域支援のモデルとなる。